【居場所とは、安心・共感・出番が交差する関係性の空間】

「居場所」とは、ただ“そこにいる”ことが許される場所ではありません。「安心・承認・自由」が保障され、自分らしくいられる空間です。評価されず、コントロールされず、ただ「いてくれてうれしい」と思ってもらえる――そんな関係性の中で、人は初めて本当の意味で“居場所”を感じます。

居場所は建物や制度によって与えられるものではなく、人と人との関係性から育まれるものです。たとえば、子どもと大人が一緒に考え、共に悩む“共育的な空間”では、教える／教えられるという枠を越えた対話が生まれます。子どもの言葉が大人の思考を揺さぶり、大人の語りが子どもを励ます。そこには、世代を超えた「並び合う学び」があります。

また、趣味や遊びは、年齢や背景を越えてつながる“共通言語”です。「好き」が交わることで、自然な共感や親しさが生まれます。地域の空きスペースを、アニメや文学、料理などの関心で彩れば、それは一気に人が集う“意味のある場”になります。眠っている場所に意味を灯すのは、人のまなざしと好奇心なのです。

そして、居場所に欠かせないのが「出番」。人は役割を持ったとき、そこに“自分の意味”を感じます。高校生が子どもと遊ぶ、シニアが趣味を教える――そんな小さな役割が、誰かの役に立つ実感となり、「ここにいてもいい」という感覚を生み出します。

居場所とは、関係性の中で育つ文化です。「安心」「共感」「出番」が重なりあうところに、人は自然と足を運び、もう一度来たいと思えるのです。