2024年10月16日(水)
HSP/HSCリンクパートナー
『Heart Smile Present』 梅本香理氏
「感じすぎる」を生きる──HSPという感性が社会をやさしくする
「気にしすぎ」「繊細すぎる」──そんな言葉に戸惑いながら、自分を責めてきた人がいる。
HSP(Highly Sensitive Person)とは、生まれつき感受性が高く、音や光、人の感情や場の空気に敏感に反応する気質をもつ人のこと。
病気でも性格でもなく、神経の働き方の“個性”である。
だがこの気質を知らないまま育つと、「自分は弱い」と思い込んでしまうことも多い。
そんなHSPにとって、支援とは「何かをしてもらうこと」ではなく、「そっと見守ってもらえること」。
寄り添いすぎず、離れすぎない距離感の中で、「そうなんだね」と共感される経験が、深い安心をもたらす。
無理に理解しようとするのではなく、“がんばらない共感”がHSPにとっての支えとなるのだ。
HSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれる感受性の高い子どもたちもまた、同様の葛藤を抱えている。
「気にしすぎ」と言われがちな子どもたちの“感じる力”を、否定せず言葉にしてあげることで、自分を肯定する土台が育つ。
大人のまなざしが、子どもの繊細さを力に変える鍵となる。
HSPが生きやすくなるには、社会に合わせようと整えるのではなく、自分に合う環境を“選び直す”視点が重要だ。
暮らし方、働き方、人との距離。自分の心と身体に合ったリズムを見つけることで、無理なく生きられる道が拓けていく。
そしていま、地域のなかでもHSPの存在が注目され始めている。
声を張らずとも、人の表情や空気の変化に気づき、場をやわらかく整える。
その敏感さは、地域に“共感の余白”をもたらし、「誰もが安心していられる関係性」を育てる土壌となる。
HSPという気質は、個人の生きづらさだけでなく、社会や地域のあり方を見直すヒントにもなる。
感じる力を“弱さ”としてではなく、“つながりを生む力”として認め合える社会へ。
それが、誰もが自分らしく生きられるやさしい社会をつくる第一歩になるのかもしれない。