第5回 地域×自治会


自治会の現在地とこれから──「続ける」から「見直す」へ

 

自治会はこれまで、地域を支える重要な仕組みとして機能してきた。しかし今、その土台が大きく揺らいでいる。制度に見えて、実は特定の個人の努力に依存しており、班制度や役割分担も“機能しているように見えて”機能していない場面が多い。形式だけが残り、実態がともなわない構造に、多くの地域が苦しんでいる。

 

自治会が掲げる「つながり」は本来尊い価値だ。だが現実には、役割の固定化や関係の偏在によって、むしろ“つながれない空気”が広がっている。特に若い世代との断絶は深刻だ。自治会が何をしているか知らない、関わり方もわからない──そんな無関心ではなく「関与できない状況」が、参加を遠ざけている。

 

一方で、地域の安全・防災・見守りといった社会的機能は、今もなお重要だ。ただ、それをすべて自治会が担い続けるには無理がある。高齢化、共働き、孤立化といった現代的課題の中で、従来の枠組みではもはや限界を超えている。

 

多くの人が「このままではいけない」と思いながらも、「どこから変えればいいか分からない」と感じている。完璧な改革は難しい。だが、「全部をやる」から「できることを絞る」への見直し、あるいは一度“終えること”を選択肢に入れる柔軟さが、今こそ必要なのではないか。

 

地域を見捨てるのではなく、地域を守るために「撤退戦」を考える。自治会の機能を分解し、必要なものだけを残し、無理なくつながる新しい形を探る。終わり方を設計することも、地域づくりの知恵である。