第4回 世代間交流


【世代間ギャップ】──“違い”から、関係が始まる

 

「話はしているのに、通じていない気がする」。そんな違和感の背後には、言葉の使い方、情報の得方、生活や価値観のズレなど、さまざまな“世代間ギャップ”が存在している。たとえば、若者のカタカナ語や略語に困惑する高齢者。SNSを日常にする若者と、新聞やテレビで情報を得る高齢者。それぞれの「当たり前」は、すでに共有されていない。

 

食卓では、知らない味に戸惑う声が交わされ、買い物や育児の方法をめぐっては「それでいいの?」という価値観の衝突が起きる。デジタル機器に至っては、「分からない」と言えない空気が、高齢者を孤立させる一方で、若者には“教える側の無意識の優越感”が顔を出すこともある。

 

しかし、本当に問題なのは「違うこと」そのものではない。違いを受け入れられない“関係性”の方にある。「正しさ」を押しつけあったり、「常識」や「経験」を盾に意見を封じたりすると、対話は閉じ、共創の場は遠のいてしまう。

 

地域や制度の中でも、形だけの「協働」が進められる一方で、住民の声が実感を持って反映されない場面がある。「若者を巻き込む」と言いながら、実際は歓迎されていない空気が漂う──そうした“無言の排除”が、次世代の可能性を押さえ込んでいる。

 

世代を超えて共に生きるには、“教える・教わる”ではなく、“違うまま向き合う”姿勢が必要だ。大切なのは、わからないことを笑わず、違いを否定せず、「なぜそう思うのか?」を問い合える関係性。「ギャップがある」ことを前提に、その間に橋を架けていく──そこから本当の対話が始まる。